逃げ足の速い僕たち

 桜宮高校の男子バスケットボール部の生徒が、顧問からの体罰を苦に自殺した事件で、ツイッターでも色々と体罰に関する考えのあれこれが流れてくる。

 その中に「ナイフで襲いかかってきたり、学校に火を放ったりする生徒に対しての体罰は容認せよ」みたいな意見があったが、それは指導でも体罰でも暴力でもなく、正当防衛、緊急避難、行き過ぎがあったとしても過剰防衛の話であって、それをもって体罰を肯定するのはあまりに馬鹿な話だ。

 論理の飛躍というか体罰肯定派は全員表も裏も腐った人間であってほしいというバイアスのかかった話でしかないけど、穿って考えれば、体罰肯定派には、その程度のこともわからん奴がいるということか(否定派にも、残念ながらいたりするから、そう決めてかかれはしないのだけど)。

 ちなみに、私の個人的雑感のうちの一つ「血液型性格診断を信じるO型の人間は、性格が悪い」というのも、似たような例。

 O型って、わりかしいい事書いてあるから、「O型の俺(私)いい奴〜」とか信じておきながら、他の血液型は悪い(とされる)面ばかりあげつらってるイメージになる。実際、そういう人いたしね。
 でも、血液型性格診断をいまだに本気で信じてる奴とは、あまり深くかかわらない方がいいとは思う。もういい加減、罰せられてもいいくらいだと思う。

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 ところで、私の小学〜高校時代を思い返すと、基本的に体罰を目の当たりにしたことはない(私の見てないところであった可能性はある。あと、体罰以外での嫌な事は色々あった)。 ただ、小学校は、土地柄なのか、教員もPTAも荒っぽい方が多く、事件はないけど事故は多発していた。

 キャンプファイヤーの火がでかすぎて消防車が来たり、行事の登山で入っちゃいけない所まで誰も気づかずグングン入っていったり(針金がむき出しになっていて私の前を歩いていた後輩がケガしたし、スズメバチに襲撃されかけたりした)、スケート大会中にテント内のストーブが爆発したり(後輩S君の父が雑に扱ったら爆発したらしい)、プール用更衣室にできたハチの巣を校長が勇んで取り除こうとしたら案の定刺されたり(児童は校内に待機していたので無事)とか色々あった。そのおかげで、この小学校出身の子供たちは、危機回避能力がやけに発達した。逃げ足はみんな速かった。

 モトクロスコースを勝手に作って休日にバイクを乗り回していたY先生、運動会の教員・父兄対抗リレーで張り切りすぎて転倒して骨折したS先生、バーベキューで地面に落っこちた肉をもったいないと言って拾って食ったM先生(いいとこの坊ちゃんだったのだがなあ…)……。

 不思議でならないのは、体罰肯定派の奴に限って、私が出会ってきた上記のような先生方の話をすると、この先生たちのことを悪く言うのだ。「品格がない」だの、何だのと。

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 「ネタ」だの「釣り」だのと言えば許されるわけじゃない。
 それをセンスや知性でかいくぐっていけるのがコメディアンなわけで、そうでない私たちは、「ネタ」に関しては、もっと慎重に神経質でなければいけないと思う。
 コメディアンでさえ、時に失敗するのだ。笑いのプロではない、私たちは、コメディアン以上に気をつけばければ、人を傷つけまくることになる。デリカシーがないとか空気が読めないと言われる人は、たぶん、そのあたりを理解できてない。