(三題噺 テーマ【ダイヤモンド】【天体観測】【ひとりごと】)
『しあわせなけっこん』
子供の頃にダイヤモンドを見た女の子は将来結婚できないという話を真に受けたままのひなきさんは、26歳になった今でも決してダイヤモンドを持とうとしない。
「町ですれ違う名も知らぬ女の子たちの幸せを奪うことはできません」と初めてお会いしたときに言っていた。
想像力豊かなうえに、とても優しいひとなのである。
だから、彼女はお金持ちがとても嫌いである。
「これ見よがしにダイヤだけではなく、各種宝石類を身につけたお金持ちのせいで、どれだけの女の子が幸せな結婚をのがしたことでしょう」と二度目にお会いしたときに言っていた。
優しいだけでなく、芯の強いひとなのである。
また、彼女は「ダイヤモンド」のような輝きをもったものを小さな女の子に見せることも、ひょっとしたら同じ様な効果を持つのではないかと考えている。
だから、彼女は小学生のときに、天体観測を授業で行なおうとした教師と、たいへん激しい喧嘩をしたことがあるらしい。
優しいが、少し心配性が過ぎるひとなのである。
ただ、子供の頃にダイヤを見たおかげで不幸な結婚をせずにすんだ女の子もたくさんいるのだろうと思う。
これは、優しくないわたしのただのひとりごとである。