三題噺『似非芸術家は醜く太る』

(三題噺/テーマ【風物詩】【選挙】【シェイク】)

『似非芸術家は醜く太る』

 「風物詩」という言葉が嫌いだと彼女は言った。
 特に「詩」という文字が入っているのが鼻につくのだと言う。「詩」なんてことを言い出すのは、大抵腐れ外道かつド阿呆な似非芸術家であると。
 だから、「風物詩」という言葉を考え出した人間は、腐れ外道且つド阿呆な似非芸術家であると力説した。

 何ゆえこんな話になったのかと言えば、新田氏が「シェイクは夏の風物詩だね」という不用意な発言をしたからだった。
 彼女はこの新田氏をたいへん嫌っており、常に新田氏を攻撃するための材料を探している。もはや新田氏ウォッチャーである。
 新田氏がこの不用意な発言をしたのは、大学構内の食堂においてであり、その発言を傍らで聞いた彼女は「食欲までなくなった」と言って私を連れて席を立ち、このうどん屋に移動してきたのである。

 彼女曰く、新田氏ほど絵に描いたような腐れ外道且つド阿呆な似非芸術家はいないらしい。
 新田氏は映画サークルに在籍していて、自身をモデルにした「現代的な悩みを持つ若者の苦悩を描いた作品」(新田氏談)を撮り続けている。それこそが、彼女のいう「腐れ外道且つド阿呆な似非芸術家」らしい。彼らのやっていることは、単純な自己顕示か公然オナニーであり、自分や自分の作品を理解しない人間を芸術を知らない馬鹿だと心の内で卑下し、己が道を迷惑な感じに邁進していく生き物なのだという。

 「ほら、あんな感じじゃない?」と、彼女はうどん屋のテレビを顎で示した。
 テレビでは、肥え太った政治家が、なんだか抽象的な綺麗事をほざいてた。
 「似非芸術家と似非政治家はとっても似てるの。どちらも選挙が近づくと活動が盛んになるわ。選挙の風物詩ね」
 彼女はそう言って、不愉快そうにうどんを啜った。
 私はそんな彼女を見ながら、食欲がないといいながらうどんを啜る彼女の神経の太さに感心すべきか、食欲のない人間でも啜らせるうどんの食べやすさに感心すべきか考えていた。

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 呟き散らかしたことと、呟き散らかそうと思ったことのまとめ


 Her Ghost Friendのセカンドアルバム『Looking for Wonder』買わなきゃ。
 CM↓

 DOOPEESが好きな人はきっとHer Ghost Friendも好きになると思う。
 さよならポニーテールも私としてはポスト相対性理論というよりはDOOPEES系列。DOOPEES、Her Ghost Friend、さよポニ、ここにあとpolaの『pola meets lyrica』を加えてもいい。こういうの大好きなの。

Looking for Wonder (るきんふぉーわんだー)

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