浅知恵のあなたは元気な振りも好き

 寒暖の差が激しく身体も心もついていかない。4日ほど前は、可能なことなら全裸で生活したいと感じるほど暑かったはずなのに、なぜ昨日の晩はストーブまで使っていたのだろう。今年初の素麺を食べた2日後に、なぜほかほかの鍋を囲んでいたのだろう。そして、目覚めてから止まらなくなっている鼻水は、はたしてシラカバ花粉のせいなのか、それとも単純に風邪をひいてしまったのか。まあ、考えたところでどうにかなるものでもないので、病人らしくおとなしくしていようと思う。

 「元気」という言葉の似合わない人生を送り続ける私とは異なり、窓から世界を眺めてみると、相変わらず健康に悪そうなほどの距離を走り続けている名も知らぬおっちゃんや見る人が見れば「田舎のヤンキー趣味丸出しwww」などと馬鹿にされそうな騒音を撒き散らす車などなど、迷惑なほど元気な方々がたくさんいらっしゃり、あまり長いこと眺めていると、ただでさえ枯渇寸前の私の「元気」がさらに勢いよく蒸発していってしまうので、ここ数日は窓に近づくことを避けている。

 しかし、もうそろそろ陽が差そうが隠れようが暑さは変わらずの時期になってしまうため、年に二回しか行かない美容室の予約なんかもしなければならないし、ついでに歯医者の定期検診の案内ハガキも届いてしまい、いつまでも窓を避ける生活を続けるわけにもいかない。幸い、髪が馴染みの美容室で座っているだけで切ってくれるし、歯医者も基本的にはおとなしく口を開けていれば済むので、元気がなくてもなんとかなる。私は無駄な元気で他人を不快な気分にさせるつもりはないので、元気がないことにも少しばかりの誇りを持って生きることにする。

元気です。

元気です。