なっちゃんはママといつも星釣り場
いつも土星が釣れずにがっかり
いつか一緒に いつの日か
ママと一緒に土星を釣る
でもいつの間にか大きなって
ママとのお買い物も減っていく
ママとのお買い物なんて恥ずかしい
星釣り場なんてもっと恥ずかしい
大人になったなっちゃんは
いつかの懐かしい星釣り場へ
懐かしいという気持ちを知ったから
ママとの懐かしい星釣り場へ
あんなに難しかった土星が
大人になったら簡単に釣れてしまう
でもあんまり嬉しくない
だってもうママはいない
帰って話すのも恥ずかしい
恥ずかしいという気持ちを知ったから
いつかなんて、もう来ない
○○○ ○○○ ○○○
「はい。谷川拓也さんのニューアルバム『TEO』から『いつかなっちゃんが土星を釣った日』でした」
「どうもありがとうございます」
「なんか、ちょっと悲しい歌ですね」
「フォーク調ですしね。Am、Emだらけ的な」
「ゆずがお好きだと仰っていましたが、フォークはジャンルとしても好きだったんですか?」
「そうですね。音楽に詳しい友達から教わって、古いのもかなり聴きました。でも、いちばん好きなのは、なぎらけんいちさんです」
「あまり悲しくないですね、それは」
「でも、『葛飾にバッタを見た』だって、どことなく悲しいですよ。まあたしかに、フォークシンガーとしてのなぎらさんも大好きですけど、愉快な嘘つきとしてのなぎらさんは、もっと好きですね」
「この番組では、最後にゲストのみなさんのお気に入りの一曲を流して終わるのですけど、そういえば『葛飾にバッタを見た』にするかCCRの『雨を見たかい』にするかで迷ってましたね」
「結局、『雨を見たかい』にしちゃいました。なぎらさん、ごめんなさい」
「じゃあ、なぎらさんについてもう少し語っておきましょうか」
「そうですね。ああ、そうだ。『葛飾にバッタを見た』の中に、俺はまだホンダのカブのバイクにしか乗ったことがないのに奴は車に乗っているんだろうかって一節があるんですけど、今ならカブのほうが素敵だなって思う人が増えてると思うんですよ」
「ああ、そうかもしれませんね。それこそ、バッタの一匹でも見られること以上に、カブのほうが素敵じゃないかって」
「はい。そういえば、この辺りはバッタ出ますか?」
「このラジオ局の辺りは、ちょっとどうか分かりませんけど、私の家の周りにはけっこう出ますよ。一時期、なぜかそれ以上にカマドウマが出て困りましたけど」
「カマドウマは嫌ですね」
「北海道はゴキブリの代わりにカマドウマがいますからね。でも、本当にその一時期だけだったんですよ。その直前に、小学校にいた変な先生が、近くの川を綺麗にするとか言って、妙な菌だか何だかを撒いたので、その影響じゃないかと思ってるんですけどね」
「信念を持って清らかな水を蘇らせようとしたんでしょうね。信念があればいいってもんじゃないですけど」
「クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルですね」
「訳すと、そういう意味になるんですよね。クリーデンスは友人の名前で、クリアウォーターは流行っていたビールのCMからで、リヴァイヴァルは復活宣言だっていう話のほうが本当らしいですけど」
「『雨を見たかい』も、ベトナム戦争の歌だって言われてましたけど、CCRの崩壊についての歌らしいですね」
「実際にベトナム戦争に関しての歌は、『フォーチュネイト・サン』のほうですね」
「また、いい感じにCCRの話につなげられたところで、そろそろお別れの時間のようですね。次回のゲストは、月居ギララとダイゴロウ・ゴリアスの皆さんです。ここまでのお相手は高山龍子と、そして」
「谷川拓也でした。アルバムよろしく!」
「それでは、最後に谷川さんお気に入りの一曲でお別れしましょう。クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルで『Have You Ever Seen The Rain? 雨を見たかい』」