ハンザキランの正体にたどり着く機会はもうない

 「次があるさ」という慰めは、大抵「次があった」どころか「今うまくいってる」奴が言うことで、言われた方はちっとも嬉しくない。少なくとも、私は嬉しくない。

 「人生、なんでも思い通りにはいかないよ」という言葉も、大抵「けっこう思い通りにいってる」奴が言うので、言われた方は腹が立つだけだ。

 次の機会なんて、ないことは多々あるし、そのくらい叶って、いや叶うとかそういう次元のものですらない当たり前のことすらうまくいかない人だって沢山いる。

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 「難しい本を何も考えずに読む」よりも「くだらない本をあれこれ考えながら読む」方が賢くなる。というのは、よく言っていることで、これは別に本でなくても、テレビでもなんでもいい。

 『ウルトラマンA』第47話「山椒魚の呪い!」に「液汁超獣ハンザキラン」という怪獣(ウルトラマンAの場合は「超獣」と呼ばれる)が登場する。地元のレンタルビデオ店には、なぜか『ウルトラマンA』だけがなく、私はしばらくこの怪獣(超獣)を『ウルトラマン大図鑑』でしか知らなかったのだが、こいつのおかげで私はオオサンショウウオの別名が「ハンザキ」であることを知った(由来は「顔の半分くらいまで口が裂けているから」とか身体に花柄模様が見え「花咲き」から転訛したなど諸説ある)。

 しかし、これもただぼーっと見てるだけでは、知識にならなかっただろう。幼少期の私が『ウルトラマン大図鑑』を呼んで「ハンザキってなんのことかしらん?」と疑問に思い、調べたから知識になったのだ。疑問に思わず、調べもしなかったら、ハンザキランは、いつまでもただの気持ち悪い怪獣のままである。