「勉強ばかりすると直感が鈍る」?

 ずっと言っていることだが、ガリレオは正解だったから、その人生がドラマチックに語られているだけで、もしガリレオの考えが本当に見当違いだったとしたら「それでも地球は廻っている」というあの言葉もただのお笑いなわけで、そして、歴史上にも今現在でも、そんな「正解ではなかったガリレオ」がおそらくたくさんいて、彼/彼女らは、正解ではないゆえにガリレオと同じような境遇に立たされようとも、今も未来も評価されることなんかないのだ。

 直感が大事という話も、正解だった直感は延々と語られ続けて伝説化しているだけで、無数の語られることのないゴミのような直感(つまりはただの勘違い、思い込みだが)があることを忘れると無残なことになる。本人が無残なことになるだけなら良いが、逆効果な方法を勝手に広められると人類全体の損失になる。

 勿論、すぐにその直感が正しいか正しくないかはわからないのだが、自分の直感を肯定してくれるような話ばかりを集めるただけでは、勉強でも検証にもならないはずなのだが、ダメな直感重視型人間(感性派などと呼ばれていたりするけど)はそれで満足してしまう。

「正義感とか善意とかが常識や合理的思考を曇らせる傾向はどうやらあるらしい。もっと言うと、少なからぬ人たちにとって、「信じる」と「信じたい」とが同義語なのだ」(菊池誠香山リカ『信じぬ者は救われる』あとがきより)


 ところで、演出とは「ある目的を達成する為に、計画・策略を練って実行すること」だと、映画学校の講義でも教わったし、辞書にもだいたいそのようなことが記されている。しかしながら、映画やドラマの演出のプロでも、現実の運動に関しては、まったくダメな演出しかできていない人が結構いて、結局リアリズムがどうとか言っていても、現実と映画やドラマがいかに異なるものであるかを示す例になっている気がしてしまう。

信じぬ者は救われる

信じぬ者は救われる