年末年始は恋愛と同じくらい身体に悪い

 知っての通り、年末年始、特に正月というものは身体に悪い。「そんな話は聞いたことがない」という人は、七草粥の由来について調べてみよう。しかし、胃腸を中心とした不調以外にも、この時期は身体に悪いこと尽くしである。

 中でも特に私を苦しめるのは、人類に時の流れを自覚させようと暗躍する「12月の卵持ちげんごろう」という組織である。奴らは、あらゆるメディアに潜り込み、「もう今年は終わりますよ」「さあ、新しい年ですよ」と唱え続け、人々の意識を時の流れというものに向けさせる。人生がうまくいっている人には、さほどの影響はないが、人生がうまくいっていない人にとって、これは下手をすると命にかかわってくる。そもそも、よほどのタフか無神経でない限り、人間というのは時の流れにあまり意識を集中させ過ぎると割と簡単に発狂してしまう生き物のはずなのである。自信満々に「無神経ではない!」と言えはしないが、そう言えてしまう人間よりは無神経ではないはずだし、なにより「タフ」という言葉からほど遠い存在であることだけは確かな私など、「時の流れ」という言葉を聞いただけで、脈拍に明らかな異常が生じる。このブログも喘息の発作のような症状と闘いながら必死に書き記しているのである。

 ゆえに、2018年も始まったばかりだというのに、美月雨竜氏は「12月の卵持ちげんごろう」たちの攻撃によって満身創痍である。それもこれも、「12月の子持ちげんごろう」たちの思惑通り、2018年なんぞが始まってしまうからいけないのである。しかし、有史以来、様々な哲学者、科学者、思想家、夢想家、宗教家などが「12月の卵持ちげんごろう」と闘い続けているが、誰一人として勝利をおさめた者はいない。そんな相手に貧弱もやし妖怪が敵うはずもなく、とりあえずは頭痛薬を買っておかないとなあ、と思って、もそもそと家を出て、半分は優しさで出来ているというあの薬を探し求めて、試される大地をさまようのであった。