行列のできるセルフレジ

 前日の最低気温が今日の最高気温というような気のふれた気候のせいで、心身ともに大きなダメージを受けている。なにかいいことないかと願わずにはいられないが、どうも「いいこと」というのは願えば願うほど遠のくような印象があるので、なるべく考えないようにしているのだけれども、それがまたかえってストレスとなって心身を傷つける。世界は優しくない。

 そんな優しくない世界に対応してか、こんな田舎方面でもセルフレジというものが目立つようになってきた。人口は少なくとも、モンスターな客やモンスターな働き手は存在するのだろうから、レジがセルフになっていくのも避けられないことだろう。しかし、なにぶん田舎なものだから不慣れな者が多いようで、セルフレジの行列だけがやたらと長くなっている。あるスーパーマーケットでは、各セルフレジに補助の店員が付きっきりになっており、いったいこの状況のどこにセルフの意味があるのだろうと長い行列に並びながら考えていた。

 こんな辺境の土地の者もいずれはセルフレジに慣れていくものだと信じたいが、はたしていつのことになるのか。辺境ゆえにお年寄りも多く、学習能力が衰えてしまうのは仕方ないにしても、学習することを放棄しているような者も年齢問わず存在するものだから、なかなか会計がスムーズに進むようにはならないかもしれない。

 うつの薬を処方されるまでは、長い時間列に並んでいると自分の髪の毛を毟り散らしたくなる衝動に駆られていたのだが、幸いなことに今はさほど苦痛を感じることなく、おとなしく並んでいられるようになった。たまに、あまり冷房の効いていない場所があって、そんなときは非常に苦しい思いをすることになるが、それはあくまで暑さによる苦しみであって、並んでいること自体に苦痛を感じているわけではない。優しくない世界にあれこれ期待するのは賢明とは言えないかもしれないが、店内の涼しさは可能な限り保っていてほしい。