校庭に誰もいない八月

 大規模農業を営む家庭が多い地域に育ったため、小学校時代の同級生、上級生、下級生たちの多くは夏休み時期に農作業の手伝いをしていた。そのためか、一部のPTAが迷惑なほど熱を入れていたスピードスケート指導とは対照的に夏のスポーツはさほど盛んではなく、夏休み中の校庭に人の姿が見えることは稀だったように記憶している。

 廃校となってからは、花壇などは老人会の皆さんが頻繁に手入れをしているものの、狭義における校庭、つまり運動場はあまり活用されていないらしく(老人会ではゲートボールが盛んなようだが、それはすぐ近くの会館の運動場で行われている)、今では八月に限らず年がら年中校庭には人がおらず、ただの荒地となる日も遠くないのかもしれない。まあ、ろくな思い出のある場所ではないので、どうなろうと知ったことではない。

 現在の校庭は、主に冬場の雪捨て場として使われるのみで、どちらかといえば冬のほうが日の目を見ているのは以前と変わらない。雪が多ければ多いほど溶けるのも遅く、6月が近づいても雪山が残っていたりもするが、いっそ一年を通して雪山が残るようにしておけば、やけに暑くなってしまった北海道の夏に気分だけでも涼しくなれる納涼スポットとなるだろう。あまり人が集まってくるのも鬱陶しいので困るが。

 私と同じ頃に母校へ通っていた面々も、廃校となった校舎や校庭の活用法について議論したりする側になっているわけだが、校舎や体育館は色々と利用されているらしいのに、校庭に関しては上記の通り、冬場の雪捨て場以上の活用法は見出されていない。強制されていたスピードスケートに良い思い出を持っている者はほとんど存在しないようなので、ひょっとしたら校庭そのものに愛着を持っている者もいないのかもしれない。愛着どころか人一倍深い憎悪を持っている私などは「荒れるだけ荒れてしまえ」と思わなくもない。