三大悪

 周囲からの圧力に屈し、免許だけは持っているものの、意地でも車を運転しようとしない私は、それゆえに運転免許の更新という面倒な義務について日常で考える機会もなく、更新連絡書の到着も不意打ちのように感じ、たかだか3000円ほどの更新および講習手数料が突然の大出費のように思え、車社会の成立に一役も二役も買っているであろう「車好き」な連中に対してありったけの憎悪を募らせている。たとえ、好きな俳優やタレントが出演していようと、車のCMが目に入ると舌打ちしてしまうほどである。

 かねてより私は「酔っぱらい」「車好き」「体育会系」という3要素が世界を悪い方向へ導いていると考えており、もし自分が絶大な権力を持つ独裁者となった暁には、これらを徹底的に弾圧し、「スポーツカーで酒酔い運転をした体育会系」などという最低最悪の者には中世の人間も真っ青な残虐極まりない処刑を公開で行おうとさえ企んでいる。

 まあ、独裁者などというものは、最終的には自分自身が吊し上げられて磔にされて惨殺されるのがオチであろうが、たとえそうなる運命にあろうとも、権力を行使できる間に、なるべく多くの憎悪対象を駆逐してしまいたいという危険思想が確かに私の心の奥底に存在する。同志は私を権力者にするべく行動を起こすべきである。憎悪対象となった者は、まだ私は権力も持っておらず少しばかりの理性を備えているので、「クソ野郎ども死ね!」とは言わないが、己の振る舞いが引き起こしているであろう災厄に関して、多少は真面目に考え、その嗜好を禁ずるとまではせずとも、やや慎みつつ嗜むくらいの配慮はみせてくれても良いのではないか。

 少しばかりの理性をフル稼働させた結果、何を言っているのかわからないほど回りくどい要望となったが、酒は飲んでも飲まれるな、車はあくまでも快適に暮らす道具(@奥田民生「And I Love Car」)、「私の国でも体育教師はバカです」(@『あずまんが大王』)ということで。