続報はもう聞こえない

 隣町ではU15のサッカー選手権が10年近く行われているらしい。興味がないというより、スポーツ全般を憎く思っている私は、そもそも知ろうとすらせずに今日まで生きてきたが、「今回のW杯に出場した選手のうち数名もかつて参加していた」というファン以外からすればこじつけのようにも思える地元新聞の記事が目に入ってしまった。

 もっとも、こういった「こじつけ」は、どんな分野においても目立った活躍をした人物が現れると、自然に発生してくるものではある。有名人の自称知人と似た現象であろう。地方紙とはいえ、新聞というメディアがいまだにそんな調子なのは、少々どうかとも思うが。

 逆に言えば、分野を問わず、少しでも活躍した地元出身の人物は記事として掬い上げられている。正直に言って、「大きな記事にするほどのことか」と思うものは沢山あるのだが、そうでもしなければ目立った記事などそうそう生まれない土地であろうことは、住んでいる身からしても容易に想像できる。だとすれば、プロのサッカー選手になっていたはずの某先輩氏は、この騒ぎの中、一体どこで何をしているのだろう。

 高校時代の先輩に一人、プロ入りした者がいたはずなのである。プロ入り直後は応援している者ですら「どうでもいい」と感じそうなレベルのものまで含めて、何度か取り上げられていたのだが、できればスポーツ関係の話題など避けて通りたい私の目や耳にも無理矢理押し入ってくるほど世間がW杯とやらに騒がなければ、脳の片隅で大量の埃を被ったまま先輩氏に関する記憶は見えなくなっていたことだろう。調べれば多少のことはわかるのだろうが、調べる意欲は湧かない。

 当時、サッカー部の顧問教師は部員の飲酒や喫煙を黙認していたなどという噂を耳にしたこともあるので、せめて悪い意味での目立ち方をしていなければ、それで良いとも思う。なにしろ、これ以上スポーツに対する憎悪が膨らんだら、他ならぬ私自身が悪い目立ち方をしかねないのである。

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