わてほんまに よう言わんわ

 コンビニやスーパー等で誤って棚の商品を落としてしまうと、破損させていなくても購入しておかないと申し訳ない気がして、欲しくもないヨーグルトなんかを買い物かごに投入せざるを得なくなるのだが、そもそもの陳列が雑だったり、やたらと店員が棚の前でなんらかの仕事をしていたり、店内をせわしなく動き回っていたりすることの多い店は、私のような人間が商品を落とすのを期待しているのではないかと疑うことがあり、気にしはじめると妙に店員が近づいてくることが多いようにも思えてきて、しかしそれは、ひょっとすれば万引きを疑われているのかもしれず、どちらにしても善良な買い物客であろうと努力している自分からすれば全くもって心外であり、あまりに疑う素振りを見せつけられたのならば、さすがの善良なる私も悪鬼と化す可能性も否定できないし、私と交流を持つ数少ない知人の中には「君は割と高確率で悪鬼と化している」と指摘する者もいて、いつの日か地獄も恐れぬ凄まじい報復劇を巻き起こすのではないかと自分に怯え、いつも以上に善良な買い物客であろうと細心の注意を払いながら目的の野菜ジュースを目指して突き進んでいたところ、タイミング悪く商品補充の店員が現れてしまい、それを避けるように少しばかり無理な姿勢で手を伸ばしたために、不要な豆乳がひとつ倒れてしまい、地面に落ちたわけでもないのに、なんだか負けたような気分にもなり、現在自宅の冷蔵庫に初めてパック入りの豆乳が鎮座しているのだが、どんな方法で消費すれば胸につかえたままのあんな思いやこんな思いも共に消化できるのだろう。

 

(追記)楽曲の権利の問題等で長らく未DVD化だった映画『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』がついにBlu-ray化されましたね。日本版『イエロー・サブマリン』とも言うべき、あの世界が高画質で鑑賞できるのは喜ばしいことである。