2021年はゴジラシリーズの異色作『ゴジラ対ヘドラ』の公開から50年という節目であり、「ゴジラ・フェス 2021」の完全新作短編として中川和博監督による『ゴジラVSヘドラ』も公開された。
使用されたゴジラとヘドラのスーツは『ゴジラ FINAL WARS』で使われたものだが、私はもっとグロテスクな蠱惑性をヘドラには持っていてほしいと考えるので、その点は少々不満だったりもする。もし、ネットの自主制作ではなく、公式長編作品としての『シン・ヘドラ』の制作が決定したならば、是非とも映画のアブジェクション史に壮大な爪痕を残すような姿で驚かせてほしい(『シン・ゴジラ対ヘドラ』ではなく、あくまで『シン・ヘドラ』を期待したい。ゴジラに頼ることのできない世界の人間たちがヘドラに翻弄される姿が見たい)。
ところで、『シン・ゴジラ』に登場した「役に立たなかった学者トリオ」を演じたのは、犬童一心・緒方明・原一男という映画監督トリオ(監督たちのことを知らなそうな観客の多い地元の映画館でも、登場した瞬間に笑いが起きていたのが印象的)だったが、『シン・ヘドラ』では、『ゴジラ対ヘドラ』で麻雀に興じるおじさんたちがヘドロ(ヘドラの残骸)に埋まって死んでしまうシーンを映画監督たちに演じてほしい。たしか、4人いらっしゃったはずなので、映画監督カルテットが必要になる。「ヘドロに埋死する映画監督」という場面の意味を批評的に演じてくれそうな方が良さそうだ(評価すべき点の見当たらないような映画監督を配役するのは直球すぎるし、そもそも引き受けてくれないだろう)。個人的には、実際にお会いした際の印象も踏まえ、安藤尋・井土紀州・松江哲明・山下敦弘の4名にお願いしたい(安藤さんだけは、役者としての姿を拝見したことがないけれども、「小芝居が上手い」という某氏の評価を聞いたことがある)。
まあ、映画制作の道を諦めた者の戯言でしかないけれども、空想するのは自由なので……。