貧血と書いて「ケチ」と読んでみる

 少なくとも外見からは「太っている」と見られたことのない人生であったし、実際に食欲も旺盛とは言い難い。そのうえ、無駄に警戒心が強いのか、食事する姿を他人に見られたくないという習性を持ちあわせているため、関わった者のなかには、私が何かを食すこと自体想像できない者さえいる。血も少なく思われがちだ。

 しかし、というかむしろ「だからこそ」なのか、今日まで朝食というものを欠かしたことは殆どない。量が足りない場合や、学業や仕事の影響で朝と呼べる時間帯に起床することができない日もありはしたし、詳細は伏せるが「摂っていない」と偽った場面もあるが、実際のところ、活動を開始するための栄養摂取だけは、儀式的にでも執り行わずにいられない。仮眠以外のしっかりとした睡眠を終えた後は、歯を磨き、顔を洗ってからの栄養摂取。この過程だけは、ひょっとすれば強迫観念にも近い(その後の2度目の歯磨きとシャワーも含め)。

 反面、昼食や夕食を軽視しているからこそ、現在に至るまで保つ必要性の感じられない外見的印象が維持されているわけだが、貧弱な割に貧血めいた症状に陥った経験がほぼないのは、おそらく上記の強迫観念によるものだろう。もっとも、超食の摂取で予防できない類の体調不良には嫌というほど見舞われているので、健康的な肉体とは全く呼ぶことができない。ただし、それらが朝食以外を軽視しているせいなのかは定かでない。

 そういえば、何度か血を啜る夢というものを見たことがある(自分の血なのか他人の血なのか他の生物の血なのかは分からない)。レム睡眠中は、血が足りていないのだろうか。