世界は私を待ってはいないだろうが、あの方たちのことはきっと待っている

 じわりじわりと私の在住地域でも新型コロナウイルス感染者の数が増えはじめ、当然ここより棲息する人間の数も多い札幌などではもっと大変なことになっており、北海道全域にまたもや不要不急の外出は控えるべしとのお達しがくだったわけだが、コロナウイルスの脅威に晒されるより前から肌がひび割れて流血沙汰になろうとも必要以上に手洗いや消毒を行い、必要な外出さえどうにか理由をつけて閉じこもったままでいられないかと知恵を絞っていた私には、これといって日常の意識を大きく変える必要もなく室内に籠城を決めている。幼少期から旅行は落ち着きのある紀行文や紀行番組で充分だという考えでいる。

 NHK、特にBSの番組には、そんな私の秘められた漫遊願望を満たしてくれるものが多く放送されているし、民放においても土・日の昼間や夕方に突然放送される紀行特番なんかには、録画保存してたまに観返すものもある(2008年9月にフジテレビで放送された『スペイン 遥かなる海ガリシア 〜リアスの森へ〜』はそのひとつ。旅人は佐々木蔵之介)。TBSで2004年まで放送されていた『道浪漫』もファンだった(井筒和幸監督の回と『世界の車窓から』のテーマ曲でお馴染みのチェリスト溝口肇さんの回が特に好き。TBSの紀行番組といえば『世界ウルルン滞在記』が有名だが、こちらは出演者に頑張りが求められる局面が多い構成のため、あまり私の好みではない)。

 こういった紀行番組も新型コロナウイルスの影響で制作が困難になっていることだろう。現在絶賛放送中の『水曜どうでしょう』の新作も、新型コロナウイルスが流行する前に収録されたものである。落ち着いて観られる紀行番組とは言い難いが、やはり抜群に面白い。

 『水曜どうでしょう』に関しては、「一生どうでしょうします」と宣言した大泉洋大先生のお言葉を藤村大魔神が強引に守らせて、どんな形であれ続けられていくのを信じるとして、その他「落ち着きのある」紀行番組が晴れてコロナウイルスが収束して再び制作されはじめた際、旅人役として出演してほしい人が何人かいる。なかでも強く希望する二大候補がふかわりょう玉城ティナで、単純にかねてからファンだということもあるけれど、ふかわさんのエッセイ等で綴られる視点を紀行番組のなかで見てみたいし(ついでに言えば、その番組を見たさまぁ~ずのお二人に後で和やかにからかわれてほしい)、玉城ティナさんに関しては雑誌『Maybe!』での旅企画が毎回素敵なので、これをそのまま映像で見てみたい。

 と、まあとりとめもなく勝手な願望を書き散らかしてみたが、賛同してくれる紀行番組ファンの方は夢の実現のため、今は録画しておいたものを再鑑賞して漫遊願望を解消することにしましょう。

世の中と足並みがそろわない

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Maybe! (vol.8) (小学館セレクトムック)

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世界の車窓から

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世界恐怖症が見る世界恐怖SHOW

「昭和は平静(平成)を装ってるんだ」(『伊東四朗&小松政夫inエニシングゴーズ』より)

 

 令和も平静(平成)を装っているのかしら。「30年かかかって昭和を終わらせたのが平成という時代」なんて話もあったけれど。いずれにしても、装っているだけでは困る。無事に終わることがせめてもの願い、なんてことを思ってしまわないようになってほしい。

伊東四朗&小松政夫 エニシング ゴーズ [DVD]

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第四惑星人による第9地区におけるビラ星人とツインテールの生態観察報告

 ニール・ブロムカンプ監督による映画『第9地区』に登場する難民として地球にやって来たエイリアン達は、その外見から「エビ」というスラングで呼ばれている。南アフリカが舞台になっていることからも分かるとおり、アパルトヘイト政策が反映されたストーリーになっており、「エビ」達と人間とのいざこざをドキュメンタリー風に捉えた場面では、南ア暴動のニュースフィルムを参考にしたと思われる構図が多くみられる。

 映画に登場する多くの「エビ」達は、蟻や蜂における「働き蟻/働き蜂」にあたる層とされ、死亡してしまったらしい支配層ほどの知性はないものの、険悪になりながらも人間とのコミュニケーションはとれているし、「エビ」というスラングで呼ばれてはいるものの手も使える。それでも、差別的な扱いを受けるだけにとどまらず、武器開発の実験等によって惨殺されていたりするのが恐ろしい。もっとも、これは空想上の「エビ」達相手どころか、現実で地球人同士が行っていたことでもある。

 そして、これもまた創作物の中だけでなく現実でも稀に起きることではあるが、差別やヘイト的な感情による虐殺行為とは逆に、ある種の畏敬的な感情が捻じれたような形で行われる虐殺というのも存在する。『第9地区』でもエイリアンと同化することを望むギャング達が登場するが、彼らが行う同化のための儀式は「エビ」達を食すことだった。エビは世界中で食用とされているが、映画の「エビ」達はお世辞にも美味そうではない。いや、美味ければ喜んで食うのかと言われればそれもまた違うが、しかし、味の好みは人それぞれであるし、文化の違いというのもある。食って良いものと悪いものの線引きも一筋縄ではいかないのである。

 さて、「エビと食」と聞いて一部の特撮ファンが連想するのは、『帰ってきたウルトラマン』に登場した怪獣・ツインテールだろう。誰が食って確かめたのかは知らないが、こいつはエビの味がするらしい。共に登場したグドンという怪獣が好んで食っているようなので、グドンからどうにかして味の感想を訊きだした者がいたのかもしれない。ともかく、世にも珍しいエビの味がする怪獣・ツインテールだが、その姿はエビというよりは逆立ちするハサミムシに近い。明確に現実のエビをモデルとした怪獣といえば、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』に登場するエビラだが、こいつは伊勢エビやロブスターのようではあるものの、買い求め易いクルマエビあたりの印象は薄い。家庭の台所で縮こまっているクルマエビならば、たしかにエビラよりもツインテールのほうが近いが、そんな弱そうなイメージだと怪獣化されにくいのかもしれない。そういえば、ツインテールもやられ役である。

 エビラやツインテールは「怪獣」なので、『第9地区』の「エビ」達のような対話は相当に困難だと思うが、『ウルトラセブン』には「宇宙蝦(えび)人間」なる異名を持つビラ星人という宇宙人が登場する。画像を検索してみればわかるが、「エビ」達やツインテールよりもはるかにエビである(ただし、美味いかどうかは不明)。侵略しに来ているため、平和的ではないものの、対話は可能である。しかし、「エビ」達と違って、いったいどのようにして文明を築いてきたのか理解に苦しむ姿である。空想科学の世界には、こうした文明を興せそうにない身体の宇宙人が結構いるが、ビラ星人はその中でも上位に値すると思う。

 

(余談)コミュニケーションのとれるエビといえば、カルビーかっぱえびせん」のCMに登場したエビAとエビBを思い出す。声を担当したのが夢路いとし・喜味こいしなので、とにかく間が良い。なんなら、勝手に喋らせておくだけでも充分に楽しめるだろう。

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「めざせアルデバラン」を探して

 落ち着いて観られる環境ではなかったので番組名もわからないのだが、小学生の頃、たまたま目にしたテレビでジュニアコンサート的なものが放送されており、6~7歳くらいの男の子が自作曲を(たしかエレクトーンで)演奏していた。視聴環境の問題で音はあまり聴き取れず、どんな曲だったのかまでは思い出せないが、タイトルだけは覚えていて「めざせアルデバラン」というものだった。

 アルデバランはおうし座で最も明るい恒星のことで、宇宙好きだというその子(私よりは年下に見えたが、今ではもうおじさんと呼ばれはじめてもおかしくない年齢だろう)は、このアルデバランをイメージして作曲したと演奏前に解説されていた。

 わずかに聞こえてきた音と演奏中の仕種や手の動きから察するに、おそらく『FINAL FANTASY』のフィールド曲にありそうな感じの曲だったと思う。一度、しっかり聴いてみたいのだけれど、いかんせん記憶している情報が乏しすぎる。一応、「めざせアルデバラン」「目指せアルデバラン」「オリジナル」「ジュニアコンサート」「作曲」といった思いつくワードで検索してみたりもしたが、いまのところ、それらしき楽曲の情報には辿りつけていない。

 なにかもっと大がかりな調査に乗り出すことができればあるいはだが、そこまでしてめぐりあった念願の楽曲が今の自分の心にさほど響かなかったりしたら、いったいどんな顔をすれば良いのかわからないので、できれば偶然の、それもある程度の距離のある再会を望んでいる。

 

落ちている財布に手をつけるべきではない良心以外の理由

 危ない薬とかが入っている場合があるからである。

 というのも、私の近くはないけれど遠くもない親族に、オリンピックよりは間隔の長いペースでお捕まりになっている方がいるのですが、前回お縄になった際は、おくすりをお持ちのところをお巡りさんに発見され、慌てておくすりの入ったお財布を爽やかなスポーツマンのようにお投げ飛ばしになったのです。おくすりをお買いできるだけのお金も入っていたせいか、お投げ飛ばされになったお財布はどなたかに拾われてしまったようで、お巡りさんによる捜索は難航するわけですが、その話を耳にした時、私は「お金に目がくらんでお財布に手をつけてしまった人は、知らず知らずのうちにおくすり所持という危険な状態にあるのかもしれないなあ」などと考えたのでした。

 いけない世界のお話なので、なるべく上品さを装って語ってみたけれども、ほとんど付き合いがないとはいえ、私も親族であるわけだから、常に捜査線上の片隅に名前が挙がっているのかもしれず、ちょっとでも道を踏み外せば、あっという間にお縄になってしまうのだろう。逆に言えば、こうしてシャバの空気を吸い続けているのは、私が(少なくとも法的には)潔癖であることを意味している。もっと胸を張って生きても良いのかもしれない。

 とりあえず、私は道端に財布が落ちているのを見かけても、決して手をつけないようにしようと思う。欠片ばかりの良心に従って交番に届けたとしても、そこで財布の中に違法なものが入っていたら、無用の疑いを受ける可能性もあるため、心を鬼にして見て見ぬふりに徹する。人の道を外れてでも、いくらかの金銭が欲しい場合は、的確に現金だけを抜き取るのがベターだろう。現ナマだけならば足はつきにくい。

 まあ、こんなことを考えている奴のどこが法的に潔癖なのだと言われるかもしれない。そういてば、かつてネットの片隅に悪いジョークとして存在していた「人間のクズチェック」というページで、財布を拾った際にとる行動の選択肢として最もクズ度の高い行為は「中身を抜き取って財布を売る」であった。しかし、中身の危険性を確認せずに抜き取って自分のものにしてしまうのは、無鉄砲が過ぎる。クズならクズらしく保身についても考えておくべきだろう。それに、必ずしも良心に従えば自分も他人も幸せでいられるとも限らない。良心はあくまで良心であるというだけで、それが適切な答えかどうかとは別なのだろう。

 

不成就日

 今日の日付で予約投稿しておいたはずの駄文が駄文ゆえか予約されておらず、それに気付いたのがいまさっきなので、これもそれも本日が不成就日だからだろうと、吉日的な考えなど敵視しているのだが、敵視しているがゆえに失敗を不成就日のせいにして本日の更新を終了とする。

大安に仏滅

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さるかに合戦をもう一度

 かつて、ナインティナイン矢部浩之さんの弟(14歳下)が中学3年の文化祭で「桃太郎」のお爺さん役を演じたことが『めちゃ×2イケてるッ!』で話題に上がり、放送を見た当時の私の同級生たちが、番組内でも触れられていたように、「中3で桃太郎」という点について笑いながら話しているのを見たことがある。しかし、彼らのうち、幼稚園の頃から共に日本的教育を受け続けていたA君は、かつて自分たちが小5で「さるかに合戦」を演じさせられたことを憶えていたのだろうか。私は30歳をこえてもなお自分が「かに(5)」であったことを忘れられずにいる。忘れてしまいたいのに。

 もっとも、蟹やら栗やら、場合によっては登場しなかったり別のものに改変されていることも多い牛糞などはともかく、臼の役というのは大抵、もっともふくよかな奴が自動的に決定させられてしまう。私たちがやらされた「さるかに合戦」においても、クラスで最もふくよかな男子児童が、これといった議論もなく、臼役であることが担任によってあらかじめ決められていた。

 当時の担任教師のことを私はいまだに良く思っていないので、これは蔑視的ではないのか、教育者としてどう説明をするのだと糾弾できないものかと考えたのだが、ふくよか君は最初から楽しそうに演じていた記憶があるため、どうにもこちらの分が悪い。そもそも、たったの2~3年で忘れ去っていた可能性のあるA君のような者もいるのだから、25年近く経った今、良くも悪くも当時の記憶を引きずっているとは考えにくいかもしれない。

 さて、「さるかに合戦」そのものについては、幼稚園に入る前に教育テレビの人形劇かなにかで見たのが最初だったと思うが、のちに衝撃映像特番でルーマニアの元大統領・チャウチェスクの処刑シーンを見たとき、祖父が「さるかに合戦の猿みたいなものだ」と言っていた。その意味では、臼役よりも猿役のほうが不名誉なのかもしれない。しかし、小学校あたりで演じられる際には、「最後は改心してみんなと仲良くなりました」という話になっていることも多いようで、それで良しとして構わないのかということも含め、教育現場における「さるかに合戦」の用いられ方い関しては、いろいろと思うところはある。

猿蟹合戦

猿蟹合戦