「学者ぶるな、小僧」

 「北海道は島流しの地だったのだから、そこに住む者は犯罪者の末裔だ」などという北海道民に対する差別的な文章を読んでしまい、道民として腸が煮えくりかえった美月雨竜さんは、「いっそ本州以南のすべての人間を駆逐してやろうかあああ!」などと、とんでもなくドス黒い感情を沸かせたりしたのだが、そんな感情の赴くままに行動してしまえば、犯罪者の末裔どころか犯罪者そのものになってしまう。

 そういえば、かつてモンティ・パイソンYoutubeに公式チャンネルを立ち上げた際、こんなコメントを発表していた。

 「過去3年間、きみたちYoutubeユーザーは我々の作品をリッピングし続けてきた。我々のビデオを無断でコピーしYoutubeにアップしてきたわけだ。今、我々が立場を逆転する時がきた。これからは我々は、自らの手で自ら映像を投稿する。君たちがどこの誰かわかっている。どこに住んでるかも知ってるし、どこまでも追いかけて死ぬほどビビらせることもできる。しかし、我々は度を超した寛容な精神の持ち主であるので、もっといい方法を考え出した。我々はモンティ・パイソン・チャンネルをYoutube上に開設することにした」

 そんなわけで、私も上記の差別的発言主がどこの誰かわかっているし、どこに住んでるかも知ってるし、どこまでも追いかけて死ぬほどビビらせることもできるのだが、しかし、元来は冷静さを保ってさえいれば、モンティ・パイソンの面々以上に度を超した寛容な精神の持ち主でもあるため、アイスバケツチャレンジとはまったく関係のないところで冷や水を頭からかぶったりして、身も心もクールダウンし、ブライアン・コックス氏を電動車椅子で轢き倒すスティーヴン・ホーキング博士の勇姿を『24時間テレビ』放送直後の時間帯で全国に流すことを決めたNHKの一部スタッフと、そんな無茶なコントを考えたパイソンたち、そしてその無茶に喜んで応えたコックス博士とホーキング博士の偉大さに涙まで流し、神棚に手を合わせ、『聲の形』の西宮硝子の幸せを祈ったりして、比較的穏やかな日常を取り戻すことに成功しているのである。

 さて、クソみたいな人間のことは忘れよう。そもそも、それほど影響力のある人間ではない。今の私よりはあるのかもしれないが、私より影響力のある人間など、それは大多数の人類がそうだと言えるわけで、何の自慢にもなりはしない。ひょっとしたら、その影響力とやらも、反面教師的な意味合いの方が強いのかもしれない。だとすれば、世界もまだまだ捨てたもんではない。心配もいらない。『モンティ・パイソン 復活ライブ』の録画は、配線コードが断線していたようで、音声がまばらにしか収録されておらず、ひらたく言えば大失敗なのだが、字幕のおかげもあり、音声なしでも充分に笑わせてくれたので、人生に絶望するほどの不幸とは言えない。そもそも、放送はちゃんと観たのだ。録画に失敗しただけだ。良い面だけ見て生きていこうぜ。幸い、目を向けることができるくらいの「良い面」が私の人生にはあった。それを全て台無しにするほどの不幸は、いまのところない。私が自分が思っている以上に精神の脆い人間だったとしても、まだ笑って逝けるだけの可能性はあるってことだ。

 バカが全部、この地球に落ちてしまっただけのこと。それらを気にしすぎて、僕たちが自分の健康な身体を傷つける必要はないはずだ。


Galaxy Song - Monty Python's The Meaning of Life

Monty Python Sings

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ブライアン・コックス 宇宙への旅

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ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

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 突撃ダンスホールに「ロリータ」という曲があるんだが、「小学生に恋したけど、その子が好きなだけで、そういう趣味ではないんだぜ」みたいな内容。ただ、どうもロリータとロリコンを混同しているようで「僕はロリータじゃない」と歌詞にあるが「そりゃそうだ、あんたは男だ」としか言いようが…

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 来年あたり、自分の中だけで、グランジオルタナ系のブームが起きそうな予感。あくまで自分の中だけで。つまりマイブーム。必要があってウィーザーを久しぶりに聴いてたら何となく。


WeezerBuddy Holly

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 『みなみけ』12巻(南さんちの3姉妹フィギュアつき初回限定版)が届いた。ハルカ姉さまはカップラーメンのふた押さえに使えると書いてあるが、カップ麺臭が染み込むのは嫌だし、そもそもカップ麺を食すことがほとんどないので、作業机横の本棚に座ってもらい、優しく見守っていただこうと思ったが、横からより、正面から見守ってもらえた方がいいなあと考え直し、移動してもらった。「PLANETS」(宇野常寛氏主宰の批評詩)に腰掛けるハルカ姉さま。
https://twitter.com/miumizuki/status/497665986963968000/photo/1

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 デヴィッド・バーン監督作『トゥルー・ストーリー』(大好きな映画)「PUZZLIN'EVIDENCE」のシーンは特に好きなんだが、トンデモさんに見せると面倒くさい形で解釈してよりこじらせるのだろうなと。世界はプレスリーと寝た女でいっぱい。勘違いな正義感をこじらせた「プレスリーと寝た人々」は、映画のクライマックスで「自由も正義もいらない」と歌うジョン・グッドマンに何を感じるのかしら。
 「だってさ、自由が何になる 神は僕らを笑っているよ」

ウィーザー

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トゥルー・ストーリー [DVD]

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