「マリーがぼくに恋をする 甘く悲しい夢をみた 夢をみた 夢をみた」
(ザ・タイガース「僕のマリー」)
私はラブコメというジャンルは好きではない。そもそも「ラブ」という文字がついた段階で、かなり興味を失ってしまう。どんな作品に対してもラブコメ的にしか考えられない人間なんて軽蔑の対象ですらある。去年くらいまでは熱中していた某マンガでも、私が距離をとろうと思うきっかけになった嫌な読者のひとりがそういうタイプのようで、私は道頓堀に飛び込む阪神ファンに対して向けるものと同様の視線を向けていた。愛せないバカというやつだ。
しかしながら、週刊少年ジャンプにおいて、ここ数年のラブコメ枠の看板であったであろう『ニセコイ』の最終回で、あの「千葉県のYさん」(千葉県のYさんについての詳しい話はこちらで→https://cupo.cc/topics/3588)が次元の壁をぶち壊したというニュースを知った時は、わけのわからない感動を覚えた。
繰り返すが、私はラブコメというジャンルは好きではない。それ以前に、たぶん「少年マンガ」というものも、あまり好きとは言えないのかもしれない。ジャンプを購読するようになったのは、『銀魂』以降であり、いわゆる黄金期の連載作品や、自分がおそらく一般的にはもっとも少年マンガに親しむ年齢だった頃の連載作品は、基本的に好きではない(その頃は、つげ義春とか岡崎京子を読んでいました)。ゆえに、『ニセコイ』のよい読者であったとは決して言えないのだが、しかし、この「千葉県のYさん」の存在は知っていて、私の中では、J.B.デストニーやレミ・ガイヤールのような愛すべきバカの枠に収まっていた。それが、今回の偉業を成し遂げたことで、一気にハン・ファン・メーヘレンやフリッツ・クライスラーのような「一風変わった偉人枠」に大接近した。いや、本当にあっぱれだと思う。もっと時代が早ければ、名著(?)『変わった人たちの気になる日常―世界初の奇人研究』や『たけし・さんま世紀末特別番組!! 世界超偉人伝説』で紹介してほしかったくらいだ。
どうして私は、こういった話に弱いのだろう。もちろん、もっとちゃんとした(?)偉人の話にだって興味はあるし、面白いと思うものもある。スポーツは嫌いだが、イチローが偉大だというのもわかる。だけれど、私が心惹かれるのは、もっとズレた感じの偉人・偉業なのだ。ギネスブックから、「どうしてそんな記録に挑戦したんだ?」と首を傾げるようなものを探すのが大好きなのだ。千葉のYさんは、そんなタイプの偉人なのだと思う。少なくとも、私はそう思う。
というわけで、千葉県のYさん。多くの方が認めて(呆れて?)いるように、マリーはあなたのものです。いや、ひょっとしたら、あまりに強いマリーへの愛ゆえ「自分のものにする」などという、ある種の支配欲すら超越しており、「もうお前の嫁でいいよ!」という言葉に対して最も異を唱えたいのは、あなたなのかもしれませんね。そう思わせるところも含めて、あなたは偉大です。
追記:ちなみに私は、るりちゃん派です。
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