メンタルぼろぼろ デンタルそこそこ

 普段、他人から褒めてもらえることなどほぼないし、褒められるような人間ではないと自分でも分かっているのだが、歯医者さんだけは定期検診のたびに「よく磨けています」と褒めてくれるので、金に余裕があるのなら週に1度くらいは通って褒めていただきたいのだけれど、残念ながらそれほどの余裕はないし、そんな財政的余裕を持てるような人間であれば、もっと他人から褒めてもらえる機会も増えるような気がする。

 なので、週1で歯医者に通えるくらいの財政的余裕のある人間を目指すべきなのだろうが、どうも自分はそんな星の下には生まれていないようだし、仮に努力の果てに辿りつけたのだとしても、その努力の最中は、あまりの忙しさに週1どころか年1でさえ歯医者に行けない状態になるであろうことは容易に想像でき、努力が実を結ぶより先にただでさえ貧弱な私の生命力は枯れ果ててしまうことだろう。「歯磨きが割と上手」という取り柄を元手に人生を軌道に乗せることは難しそうである。

 では、他に元手となりそうな私の取り柄はないだろうか。あまり真剣に考えると「たぶん、ないだろう」という悲しい結末を直視せざるを得なくなるのは既に分かっているので、軽くでもいいから褒められたことのあるものをなんとか記憶の底から絞り出してみると、そういえば髪と頭皮の状態の良さを褒められたことが何度かあった。「洗髪が割と上手」という取り柄を元手に人生を軌道に乗せることは可能だろうか。

 可能ではあるのだろうけれど、結局のところ、軌道に乗せるまでの努力や苦労によって、せっかく良い状態を保っていた頭皮事情が散々たるものになるであろうことは容易に想像でき、それならまだしも、ただでさえ貧弱な私の生命力では、頭皮だけでなく内臓も次から次へと散々なことになりそうで、やはり努力が実を結ぶより先に寿命が尽きてしまいそうである。

 というわけで、ことごとくマイナス方向にしか考えられないメンタルでは、人生を軌道に乗せることなど夢のまた夢。そんな星の下に生まれたのだからしょうがないと諦めることが、今の私にできるせめてものプラス思考である。