毛嫌い日記

 髪の毛を短くするのが嫌で(他人が短くしているのは別に構わない。あくまで自分の髪が短くなるのが嫌なだけである。強いて言えば、スポーツマン、特に高校球児の坊主頭が嫌いなくらい)、小・中・高、果ては専門学校時代ですら注意を受けてしまったのだが、他の部位の毛に関しては、なるべくなくしてしまいたいという厄介な性格で、大して髭が濃いわけでもないのに、風呂場で入念に髭剃りを行い、しょっちゅう流血沙汰になっている。さながら映画『クリーン、シェーブン』である。

 この時、出血よりも注意しなければならないのは、勢い余って眉毛まで綺麗に剃り落してしまいそうになることである。頬や額の僅かな産毛が気になって剃っていたら手元が狂って……というのも勿論あるが、毛そのものに対する妙な嫌悪感が生じてきて、「いっそひと思いに!」となるのを、ほぼ毎日抑え込んでいる。

 さすがに眉毛をなくしてしまうと、汗が目に入りやすくなって日常に支障をきたすと聞いたこともあるし、L'Arc〜en〜Ciel のhydeさんがプロモーションビデオの撮影のため眉毛を剃り落としたところ、何を考えているのかわからない顔になってしまってメンバーから苦情を受けたり、朝起きて歯を磨くときに鏡を見るたび自分でも驚いてしまったというエピソードも、ちょっと脳の片隅に引っかかっている。ただでさえ何を考えているのかわからんと言われる私が眉毛を失ってしまったら、さらに得体のしれない人相になってしまい、無用なトラブルをアホほど舞い込んでしまう可能性は大いにあり得る。今だって充分に悩み事を抱えているのだから、わざわざそれを増やすこともあるまい。そこまでのマゾではないのである。

 と、言いつつ、今朝もおもむろに毛抜きで何本か眉毛を意味もなく抜いてしまっているので、この性分も主治医に相談したほうが良いのかもしれないと考えはじめている。

クリーン、シェーブン [VHS]

クリーン、シェーブン [VHS]