目は口ほどにものを言うように感じるだけで別に何も言ってはいない

 目が死んでるだの目の奥が笑っていないだの、結局はてめえが「そう感じる」というだけの話であって、それだけのことで人間性が測れると思い込んでいる奴は、なぜそれほど他人を見る目というものに自信が持てるのか分からず、むしろその自信の持ち方こそ信用ならないと言いたくもなる。たしかに嫌な目だと感じる相手は私にも存在する。しかし、感じるのは勝手だが、それで人間性まで語るような真似は誹謗中傷の類だろう。

 ところで「目が笑っていない」に比べると「目が笑っている」というのは耳にする頻度が低い気がする。本当に笑っているのであれば目も自然と笑っているわけで、つまりそれは敢えて指摘するほどではない、ということのなのかもしれない。また、目さえ笑っていれば、おのずと顔全体が笑っているように感じるのだろう。真剣な芝居を求め照られている役者や役人(?)くらいしか「目が笑っている」という指摘を頻繁に受ける人間はいないのかもしれない。

 しかし、「目が笑っていない(目だけは笑っていない)」とは対照的に「(いつも)目だけは笑っている」ように見える人が私の好きな俳優に一人いて、それが岩松了である。岩松さんは常に目の奥に不可解ともいえる「笑み」が感じられ、賢い人物、あるいは悪人を演じている際は底知れなさと繋がり、逆にコメディだとおかしくてたまらない。余裕たっぷりなのか何も考えていないだけなのか、いずれにせよ岩松さんが登場するとこちらは釘づけである。笑っているように見えるがゆえに、どんな役でも抜群の存在感なのだ。

 俳優がいわゆる「目の演技」によって役を表現することはあるし、それを最重要視している場合もある。他人の目に意味を持たせようとすること自体は避け難いことなのかもしれない。しかし、俳優のそれはあくまでも「表現」や「芸」であるし、素の人間であっても目の印象が真実とは限らないわけで、無用の軋轢を生みたくないのであれば注意しておくべきだろう。

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