暑さは熱さじゃ集まるだけだ

 暑い時こそ熱いものをという考え方がどうしても受け入れられない。少なくとも、私には効果がないどころか、単純に余計に暑くなるだけであり、「暑い時こそ熱いもの」を実践している連中の姿すら目に入れたくない。

 爽やかな夏など、もはや創作物か幻想の中にしか存在しないのではないかと思う。たとえ創作物であっても、特に実写映像作品に関しては、映画制作の現場に携わりかけた経験があるゆえに「撮影現場は地獄だったのだろうな」という思いが先行して、いくら爽やかさを演出されても、この酷暑の中では気持ち良く観ていられない。実際に涼しい土地の景色か、体温など感じさせないほど美しい人物、もしくは人間味のない人物くらいしか視界に入れたくない。

 汗が多く流れるせいで、入浴時間が長くなってしまうのも困る。常に風呂は長めになる方だが、それは身体が汚れている状態が許せないがゆえに清める時間が長くなるだけで、入浴が好きというわけではない。暑い時期など、できれば短く済ませたいのだけれども、洗っているそばから汗が流れ出てきたりするものだから、なかなか納得のいく状態に持っていけず、結局冬場より長引いたりする。夏に良いことなんか何もない。

 とりあえず、「暑さには熱さ」を実践するのは自由だが、可能な限り他人の目に触れないところで勝手にやっていてほしい。やりたい奴はバカにしようが逆効果だと言われようが気にすることなどないだろうから、メディアもわざわざ特集など組まなくてよろしい。