汚れなき、ひたすら

 普段の掃除が行き届いているのか、年末の大掃除の際に「ああ、一年経つと汚れも溜まるなあ」という感覚があまりない。壁や天井をしっかり拭き掃除するのは大掃除の時だけなのに、なんだか年々バケツの水が濁らなくなっている気がする。

 良いことではあるのだろうが、しかし、あまりに張り合いのない状態の雑巾や洗い水を見ると、自分は本当にしっかり掃除をできているのだろうかと不安にさえなってくる。翌日、掃除したはずの場所に再度闘いを挑んでみたりもするが、結局ただのしかばねに話しかけているような気分を味わうだけである。無駄な体力を使い、ただでさえ乾燥に弱い貧弱な皮膚は酷くひび割れ、気づかぬうちに血が流れる。私の寝床に細かな血痕が多いのは、このせいである。

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