夢のドライブは夢のまた夢のうえに危険

 デートは羨ましいがドライブデートとなると羨ましくない。というより、心配でしかない。

 知っての通り、自動車は危険物である。大泉洋大先生の従兄弟にして天才的カーバイヤー(なかば詐欺)でもある「みっちゃん」の「知っての通り、車っちゅうのは5年で動かなくなる」という言葉が真実であれば、自家用車を所有する人間も減るわけで、どれだけ世界が平和になることだろうと車嫌いの私などは思ってしまう。

 目的地までの移動手段に徹するのであればまだ良い。しかし、ドライブそのものが目的となると危険度が増す。なにしろ、運転手の隣には意中の相手が座っているのである。浮足立ってしまっても不思議ではない。運転手は同乗者の生命を預かっているわけだから、気をつけるべきは安全運転のみである。デートという舞い上がり易い舞台では他の移動手段を用いるか、腕利きのドライバーを雇うべきである。特に平成の怪物・安田顕氏のように「大泉くんは保険とか入ってるのかなあ?」などと同乗者に訊くような人間は、デートに限らず決して他人を乗せて運転してはいけない。森崎リーダーの犠牲を無駄にしてはいけないのである(参照『ハナタレナックス』)。(カークラッシュでしか性的興奮を感じることができないとか、そういう特殊な事情があるのならば仕方がない。それでも、楽しむ場所は考えるべきである。決して公道でエクスタシーを求めてはいけない)

 私も周囲の圧力に抗えず、二十歳を目前にした頃に自動車免許を取得することになったが、自分には生きている価値などあるのかと2分に1度くらいの頻度で沈み込みがちな性分のくせに実際に命を落とすのは極端に恐れているため、最後の教習以来、一度もハンドルを握っていない。ゆえに好きな人を危険に晒すこともない(そもそもドライブに誘えるような関係の相手がいない。それどころか好きな相手の半径1キロメートル以内に近づける自信すらない)。我が人生に交通刑務所との縁はおそらくなし。そのかわり、薔薇色の人生との縁もおそらくなし。

 

(追記)ところで、ドラッグカーレースというのは、モータースポーツなのかスタントショーなのか。カーレース自体がスタントのようなものだとも思うが、ジェットエンジン搭載の「車」と呼んで良いのかすら疑わしい代物に乗ってぶっとんでいく人間は、スポーツマンというよりはやはりスタントマンに近いと感じる。

ラビひらひら

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未確認非行部隊

 やけにエンジン音がうるさい近所の車だが、どうにも2~3台存在しているようで、しかも土日の夜中にはどこかに集まっているような気配がある。なにぶん、ド田舎なので人目のつかない場所は多く、ひょっとしたら田舎趣味丸出しの頭の悪そうな車に乗った頭の悪い連中がどこぞにたむろしているのかもしれない。

 『頭文字D』にでも憧れて、山道に集結して走り屋でもしているのであれば、すぐに通報してしまえるのだが、いかんせん未確認なもので、ただうるせえだけで即逮捕となるような罪を犯していないのだとすると(車に詳しくないので、エンジン音だけで違法な改造なのかどうかを判断する術がないし、詳しくなりたいとも思わない)、こちらが面倒な悪者になってしまう可能性もある。厄介きわまりない。

 この積雪期のあいだに、どこか人の目に触れぬところでひっくり返って勝手にお亡くなりにでもなっていてくれれば幸いだが、これもまた、こんな事を願っている私のほうが世間からは悪人とみなされるような気もする。理不尽である。許されることではない。いっそ、本当に犯罪者になってみるべきだろうか。大きめの釘かなにかを用意すれば……。

 もちろん、あんな連中に手を出してお縄になるのも癪であるし、貧弱な私では返り討ちに遭う可能性のほうが高い。拳銃の所持が合法になっていれば何らかの行動に出ていた気もする程度に苛立ってはいるが、現状は理性がかろうじて勝利を収めているので、おおざっぱに「何か良いことないかしら」と願ったりしている。

 

目は口ほどにものを言うように感じるだけで別に何も言ってはいない

 目が死んでるだの目の奥が笑っていないだの、結局はてめえが「そう感じる」というだけの話であって、それだけのことで人間性が測れると思い込んでいる奴は、なぜそれほど他人を見る目というものに自信が持てるのか分からず、むしろその自信の持ち方こそ信用ならないと言いたくもなる。たしかに嫌な目だと感じる相手は私にも存在する。しかし、感じるのは勝手だが、それで人間性まで語るような真似は誹謗中傷の類だろう。

 ところで「目が笑っていない」に比べると「目が笑っている」というのは耳にする頻度が低い気がする。本当に笑っているのであれば目も自然と笑っているわけで、つまりそれは敢えて指摘するほどではない、ということのなのかもしれない。また、目さえ笑っていれば、おのずと顔全体が笑っているように感じるのだろう。真剣な芝居を求め照られている役者や役人(?)くらいしか「目が笑っている」という指摘を頻繁に受ける人間はいないのかもしれない。

 しかし、「目が笑っていない(目だけは笑っていない)」とは対照的に「(いつも)目だけは笑っている」ように見える人が私の好きな俳優に一人いて、それが岩松了である。岩松さんは常に目の奥に不可解ともいえる「笑み」が感じられ、賢い人物、あるいは悪人を演じている際は底知れなさと繋がり、逆にコメディだとおかしくてたまらない。余裕たっぷりなのか何も考えていないだけなのか、いずれにせよ岩松さんが登場するとこちらは釘づけである。笑っているように見えるがゆえに、どんな役でも抜群の存在感なのだ。

 俳優がいわゆる「目の演技」によって役を表現することはあるし、それを最重要視している場合もある。他人の目に意味を持たせようとすること自体は避け難いことなのかもしれない。しかし、俳優のそれはあくまでも「表現」や「芸」であるし、素の人間であっても目の印象が真実とは限らないわけで、無用の軋轢を生みたくないのであれば注意しておくべきだろう。

ペコロスの母に会いに行く

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死んだ孫の手首を乾かして売っているだけさ

 孫の手の多くは細長い木製のもので、あれを実際の「孫の手」だと考えると酷い栄養失調状態に思える。虐待、特にネグレクトの疑いが濃いので、しかるべき機関に通報が必要だろう。

 「孫の手」をウィキペディアで調べてみると「中国の西晋時代の書『神仙伝』に登場する仙女・麻姑(まこ)に由来する」と書かれていた。それが訛って「孫の手」となり、祖父母孝行の意味も相俟って広まったらしい。大本に従えば通報の必要はなさそうである。お騒がせしました。

 我が家には孫の手はなく、その理由は「最適な洗浄方法がわからない」からである。皮膚を削り取る道具なので常に清潔にしておきたいのだが、用途ゆえに曲がりくねっていたり、名前に寄せて指先のようになっていたりするので細かい場所が綺麗に拭けなかったりする。結局、長めの定規あたりをその都度除菌ティッシュなどで洗浄して使用するほうが楽に思えるし、力の加減もし易いように感じる。

 そもそも孫どころか結婚、いや異性との交際すらほぼ諦めているような人間に「孫の手」などという名称の道具はふさわしくない。むしろ「美女の手」とか、そんないかがわしい香りのアイテムを探したほうが良いのではないかとからかう声も聞こえてきそうだ。孫の手以上に力の加減が難しそうだし、からかう声よりも「♪あなたの肌に爪をたてたい」という島津ゆたかの歌声が聞こえてきそうで、痒みは解消しても爽快さは感じられそうにない。やっぱり、定規でいい。

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スダールは美味しくいただかれていない

 『キングコング対ゴジラ』に登場する大ダコは本物のマダコを撮影に使用しており、撮影後はスタッフが2日がかりで美味しく召し上がったらしい。もちろん、バラエティ番組とは違うので、スタッフクレジットを細かく探しても「スタッフが美味しくいただきました」という注意書きはない。想像力の貧困なクレーマーがもっと増えてくれば、劇中に表示されるようになるかもしれないが。

 『ウルトラQ』第23話「南海の怒り」にも巨大なタコ「スダール」が登場する。スダール登場の場面には『キングコング対ゴジラ』のシーンを流用した箇所があるが、もし注釈をつけることが指示された場合、どう説明すれば良いのだろう。たしかに撮影されたタコはスタッフが美味しくいただいたのだが、それは『キングコング~』撮影時の話であって、『ウルトラQ』撮影時ではない。つまり、大ダコさんは食われたがスダールさんは食われていない。子供たちに誤った情報を与えてはいけないなどと言われても、このケースはどうしたものか。

 まあ、スダールや大ダコの存在自体が「誤った情報」と言えなくもないし、創作物にそもそも上記のような注意書きなど必要ないとも思うので無意味な問いなのだろうが、怪獣ファンとしては、スダールさんだけが死後に有効活用されていなかったとするのもかわいそうなので、なにか気の利いた言い回しがないか暇な時に考えてあげようと思う。思いつくかどうかは別として。

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南極五輪すら難局五輪となった今、もうみんな家に帰ろー!

 寒い日が続いてる。北海道だから当然だろうと思う者もいるだろうが、類まれな寒気が日本全体を襲っているらしく、ただでさえ寒い北海道もより寒いのである。長時間、全身を縮こめているせいか、やけに肩がこる。なにやら背骨や腰も痛い。厚化粧のようにユースキンを塗りたくっても、すぐに皮膚が引き裂かれ気付かぬうちに出血している。身体のあちこちが歪んだりずれたり裂けたりしていて、仮に不要不急の外出を奨励されたとしても外になど出たくない。2021年様がコロナの抑え込みに協力してくれているのかもしれないが、そこまでしなくて良い。

 そういえば、基本的にウイルスのいない南極でもコロナ感染者が報告されたらしい。「そんなにオリンピックがやりたければ、やりたい奴だけ南極に集まってやればいい」(聖火リレーには、いわゆる“推し”の方が数名選ばれてしまっていたはずなので、そこは除外で)などとスポーツ嫌いの私は乱暴なことを考えたりもしたものだが、南極すら難局を迎えていたようだ。西村くん、どうしよう、全然楽しくない。

 やっぱり家に籠っていろということだろう。おとなしくしていよう、そうしよう。

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(どうでもよ過ぎる余談)ガリベンズ矢野さんによる、くりぃむしちゅー・上田氏のモノマネ聞いていたら、ひょっとして福山雅治のモノマネのスピードをあげれば上田さんになるんじゃないかと思った。

蒸発旅日記の時代

 占いの類は根拠がなくとも「今日のあなたは運勢第1位!」などと言われれば悪い気はしないわけで、たしかに運が良い日だったと言えなくもないし、逆に「あんた最下位」となれば、そんなこと言われた時点で気分は沈むわけであり、良くも悪くもその程度のものだと捉えるべきものなのだろうけれど、しかし、このご時世に「旅行が吉」なんて言われても困るわけで、しかも2つ以上の媒体でそんなアドバイスをされてしまうと、もうそれは単純に運が悪いということなのではないかと思えてくる。せめて「紀行番組を見るだけでも運気上昇」くらいのことを添えられないものだろうか。

 ところで、中学の頃にクラスメイトと「『遠くへ行きたい』の主題歌は、なぜ詞も曲も物悲しいのか」という話題で(盛り上がりに欠ける私の会話遍歴の中では比較的)盛り上がったことがある。蒸発願望の吐露としか思えないあの歌から連想されるのは、どうしたってハワイやグアムの陽気な景色ではなく、つげ義春の漫画世界である。

 しかし、コロナウイルスの感染要因は食事そのものではなく会話であるという話を聞くので、死に場所探しのようなつげ義春的旅行であれば、感染拡大の危険性も低いかもしれない。ひょっとして「昔のガロの匂いがする」などと言われることもある私のような人間に陽の目があてられるべき時なのでは? いや、陽の目なんて浴びたら文字通り「蒸発」してしまうかもしれない。生来の日陰者は感染拡大の片棒など担ぎたくても担げそうにないので、これまで通りおとなしくしているのが世の為だろう。

新版 貧困旅行記 (新潮文庫)

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  • 作者:つげ 義春
  • 発売日: 1995/03/29
  • メディア: 文庫