騒がしいテーマパークの前日は沖縄に居て、私は食べ物がどうにも合わず、ドラゴンフルーツだけを食べて飢えと渇きを癒やしていた。ゆえにテーマパークでもひどい空腹状態のはずだったが、周囲に溢れるうるさいほどの明るさは私の食欲をすっかり失わせており、残りの数日はお茶だけで過ごすことになった。
最終日も同じ部屋の者たちは別室へ遊びに行った為、一人でテレビを眺めていると、塩辛さで有名な国が反逆者の処刑法を猿で実践してみせる映像が流れていた。尻から口へ粗末な細い杭で串刺しにされた猿に電気が流されると、映像加工じみた嘘臭い火花が画面を覆い、猿は背中の肉がべろりと剥けて惨死した。テレビの裏の壁紙には僅かな隙間があり、そこには前年に泊まった生徒が書いたと思われる走り書きのメモ用紙が押し込まれていた。
メモ用紙は財布にしまい、私はこれまでの憎い相手を猿と同じ目に遭わせるのを想像しながら誰かが戻るまで目を閉じた。眠れるほど無防備にはなれないが、目を閉じているだけでも多少の休息にはなる。しかし、外でなにやら騒ぎが起きているのがわかってしまうと、意識が釣り寄せられてしまうので休んでもいられない。窓から通りを見下ろすと、巨大なミミズが女性教師の足に噛みついて激しく振り回しているのが見えた。女性教師は幾度となく頭部を地面に擦り付けられ、徐々に身体が削り取られていく。脳も半分程に減ってしまっているが、苦しそうにしていておぞましい。テレビをつけると、ちょうど従兄弟がベースを担当するバンド「ケータローステップ」が新曲を演奏していたので、イヤホンを繋ぎ外の騒ぎを遮断した。