静養日記14 〜死を予告はしないKANA‐BOONの歌声が聞こえる〜

 ここ数日は、北海道らしい夏が続いている。私の言う「北海道らしい夏」というのは、窓を閉めきったり、そこそこの運動をしたりすればさすがに汗だくになることはあっても、パソコンの前でうんうん唸りながら、つたない文章をえっちらおっちら綴っている程度では、自分の至らなさに涙が流れることはあっても、汗が流れることはほぼない、というような気候のことだ。

 「それは秋と呼ぶべき気候なのではないか?」と言う人もいるかもしれないが、少なくとも私は、北海道の夏とはそういうものだと思っている。子供の頃は、暑さへの不快感を感じにくかっただけでもあるが、さすがに近年のような暑さが続くようなこともなかったような気がする。もっとも、病弱なお子様だったので、しょっちゅう体調不良ゆえの寒気に見舞われていたという点も無視できないが……。

 それにしても、今年の夏はやけにカナブンが多い。夜になると、窓に何匹もコツンコツンとぶつかってくる。終末感を漂わせるような不気味な虫(たとえば、デレク・ジャーマンの『ラスト・オブ・イングランド』では、「死を予告する甲虫、チャタテムシの音が聞こえる」という一節がある)ではないので、気が滅入るようなことはないが、やはり気にはなる。ベランダ用の靴(100円ショップで購入した、風呂掃除などに使うような靴を置いてある)の中に死骸が入っていたりするのも不快だ。まあ、夏のあいだだけの我慢なので、カナブンたちには好きなように生きてもらおうと思う。


KANA-BOON 『バトンロード』Music Video