あの時はまだ目覚まし時計は歌っていた

 投票率を上げるための様々な取り組みがニュースで報じられているのを見たが、つい先日、長年地元の投票所として活用されている地域会館の傍に住んでいる知人が「会館が必要もなさそうな改装工事を行っていて、投票日までに終わるかどうか心配」と言っているのを聞いた。どの時間に足を運んでも密になりそうもない過疎地らしいので、いつまで投票所としての役目を任せてもらえるのかも定かではないが、なんとも間の悪いタイミングでの改装工事である。

 「ここが投票所として活用され続けるのを死守します!」と公約に掲げる候補者がいれば、知人の住む地域近辺の投票率は上がるかもしれないが、もちろん、そのようなピンポイントすぎる政策に力を入れる者はおらず、今のところ、知人から工事が終了したという報告もない。まあ、私にはあまり関係のないことだが。

 選挙権を得て以降、私が利用している投票所も、負けず劣らず密になりにくい過疎地に存在しているが、幸いなことに改装の予定もなければ崩壊している様子もなく、本日も急な病気や怪我などに見舞われさえしなければ、権利を行使しに向かうつもりである。私のような者にも、一応、権利だけは存在している。目を向けてもらえるかどうかは知らないが。

 ちなみに、私自身の交友関係は非常に狭いため、私個人宛てに特定の候補者や政党への投票をお願いしてくるような電話はかかってこないが、実家の固定電話となると、数例の選挙運動の対象となっているらしい。運悪く私が出てしまった場合は、私の中での該当候補者/政党への印象が一気に悪化する。電話でお願いすれば可能性が上がると考えている時点で時代に適応できているとは思えなくなるのだが、いつか「今ここでお願いすれば投票してもらえるとお考えなのですか?」と電話口で問うてみたいものの、実行する勇気は持てていない。

夏の十字架(CD)

夏の十字架(CD)

Amazon