Home And Dry

 異常な湿気で部屋が腐りはじめる夢を見た。壁も天井も一面、春先に溶け残った雪や氷のような薄汚い水気で覆われ、触ると嫌なぬめりまで感じる。気づかぬうちにここまで進行していては、部屋に保管してある書物などの大切なものも全て侵食されているだろうと絶望的な気分になり、声をあげて泣き出しそうになったところで目が覚めた。

 嫌過ぎる夢を見た時は大抵ひどく汗をかいているものだが、今回に関しては、夢のせいで汗をかいたのか、はたまた季節の変わり目にありがちな体温調整の難しい気候によって寝汗をかき、それがゆえに湿気にまみれた悪夢を見ることになったのか判断が難しい。

 いずれにせよ、寒くもないが暖かくもなりきっていない時期の大汗など放っておいて良いことなどないので、早朝からシャワーを浴びるはめになったのだが、手遅れだったのか、はたまたシャワー自体が良くなかったのか、体の具合が非常に悪く、ひょっとしたらこれが最期の言葉になるかもしれないなどと不吉なことを考えるだけの余裕はあったので、一応ここに書き記しておくこととする。