スマホも落とす時代なのに

 固定電話すら置かない家庭も増えてきているなか、FAXなどさらに存在感を薄めている。若い世代では存在感が薄いどころか、そもそも存在を知らない人も多く、実際、テレビ東京の人気番組『モヤモヤさまぁ~ず2』(北海道では放送されなくなってしまって非常に残念。TVHさんは海外ドラマや再放送ドラマばかり組み込んでないで、どうにかしてほしい)の視聴者プレゼント企画でFAXによる応募を呼び掛けるという今時珍しいルールを設けたところ、「今もFAXを置いてある家庭はどれくらいあるのか」とナレーションでも語られていたうえ、出演者の田中瞳アナウンサー(平成生まれ)がFAXというものにピンときていない様子も公式YouTubeで紹介されていた。それでも、番組の支持層が広かったのか、多くの応募があったので、まだ絶滅危惧種というわけではなさそうである。

 ちなみに、現在もFAXの活用が多いらしいのが農協関係で、農業人口の多い私の地元では長年FAXを常備している家庭がたくさん存在している。我が家は祖父の代の時点で「畑作をやってもいた」程度でしかなく、私の生まれる10年以上前には既に完全撤退しており、それゆえかFAXが家電に仲間入りしたことは一度もない。だが、近隣のほとんどが農業であるため、昔からFAXを送ろうとしているらしき無言電話(「ピー」という機械音が聞こえる)が頻繁にかかってくる。大抵は送信失敗に相手が気づいて、せいぜい少し間を置いてからの二度目の送信(こちらも失敗する。FAXがないのだから当然である)で察してもらえるのだが、稀に三度も四度も繰り返し挑戦してくる諦めが悪いというか察しが悪いというか頭が悪いというか、とにかくしつこい奴がいて、我が家の固定電話に相手の番号が表示される機能が備わって以来(比較的、遅く導入された)、該当者は着信拒否設定になっている。なにしろ、FAXの固有番号ではかけ直したところで問いただすこともできないのだ。FAXが当たり前の世界に住んでいるのかもしれないが、いい加減、もう少し世の中に敏感になってほしいとことである。