怪物に食われたわけではない(死神みたいなのが来たけど)

 美月雨竜氏の偏屈部屋を訪ねてくる人は少ない。
 予告なしに訪ねてくる人となると、それはもう大変親しい人でしかありえない。
 しかし、なにが面白いのか、美月氏の偏屈部屋へ予告なしにあがりこんできた人物が存在する。
 その人物の名は、仮にりゅーく氏としよう。

 りゅーく氏は、美月氏が貴重な青春時代の内の三年を棒に振った日本映画学校の同期生である。
 生まれた年も同じで、初年度のゼミも同じだった。
 りゅーく氏の出身地は沖縄で、日本の最北に生まれたもやしの妖怪と、日本の最南に生まれた死神のような男が、日本の真ん中あたりで奇妙な邂逅を果たしたのだった。

 りゅーく氏と美月氏は、特に親しいわけではないはずだ。
 たしかに、一年間だけ同じゼミで、比較的楽しく会話もしたし、進級後、ゼミが別れても幾度か会話したり、実習関連で協力してもらったりしていた。マイミクという関係も結んでいる。
 敵対関係ではないし、ちょっとした知り合いというには色々関わりすぎてはいる。
 しかし、予告なしで訪ねられて、美月氏が「慌てない」相手かというと、そうではない。そうではないのに、りゅーく氏は、二度美月氏の偏屈部屋に予告なしで現れた。

 昨日の更新が途絶えたのは、りゅーく氏の二度目の侵入が原因である(一度目は映画学校一年時)。
 夜10時近く、美月氏が軽くシャワーを浴びて(美月氏は、朝ゆっくりと風呂に入り、夜は軽いシャワーで汚れを落とすという生活)、一仕事しようかと目論んでいたところ、外からなにやら不穏な話し声が聞こえた。そして、すぐ玄関のチャイムが鳴った。勧誘とかだと嫌なので(宅配便や郵便、しょっちゅう訪れる友人たちはノックによる合図を知っている)、とりあえず無視しようとしたら、携帯が鳴る。りゅーく氏からであった。

 そのまま、りゅーく氏は伴ってきたらいす氏(こちらも映画学校時代の知り合い)と共に転がり込み、つい先ほどまでとりとめのない会話を交わし、腹が減ったという理由でふらりと去っていった。
 このようなりゅーく氏の自由加減と意味不明の行動力は、敬服に値する。親交度で言えば、もっと高い映画学校生もいるのだが、このような突然の訪問をされて、笑って許してしまえるのはりゅーく氏くらいである。何と言うか、抗えない力がある(決して、横暴というわけではなく、その自由ぶりに巻き込まれる感じである)。

 そんなわけで、美月氏は怪物に食われたわけでもないのに、5月24日の日記を更新することができなかった。
 不測の事態であったが、それはりゅーく氏の行動を予測できなかった美月氏の責任であるし、それなりに楽しくもあったので「まあ、これも良いか」と呟いてみる。よろしくなかったのは、お仕事がちょっと遅れてしまったことくらいである。



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前ブログからのコメントの転載


Commented by ディラックの海

ともかく無事で何よりです。

2010年05月25日 03:17


Commented by 美月雨竜

ディラックの海さん



多少、眠くはありますが、とりあえず生きております。

2010年05月25日 08:12


Commented by ペギモン

怪物だけではなく、死神まで居るとは……

新百合ヶ丘はなんて怖い場所なんだ……(-"-;)




ヌッハッハハハハッ!!
よくぞ気づいたな!!
私が死神男の【りゅーく】なのだがやぁ〜!!
お前の魂をトマトケチャップにつけて、食べてやるぞぉ〜

今度はアポナシで教授を持っていくからなぁ〜

ヌッハッハハハハッ!!

2010年05月25日 22:13


Commented by 美月雨竜

りゅーく氏

 京都のような歴史ある都でもないくせに、新百合ヶ丘には、怪物やら死神やら妖怪やら映画学校生やら色々と魑魅魍魎が存在しているようだ。

 私の魂など、トマトケチャップの力を借りたとしても、とても食えたもんじゃないだろうと思うが、貴君がゲテモノ好きであるのなら、それもまたよかろう。食あたりしても責任は負わぬ。
 それよりも、リアル博士の愛した数式状態の貴君が、私から「教授」を借りたことを忘れてしまうのではないかと少々心配になっているところぜよ。まあ、それほど貴重品でもないから、諦めはつくが。

2010年05月26日 00:16




Commented by otooto

アホとしかいいようがない…
そして,,僕も同期で同い年の一人って事が…はぁ〜…

…最近,,死神に会ってないな…生きてたか…

2010年05月26日 09:29




Commented by 美月雨竜

otooto氏

 底抜けの阿呆はいっそ清々しく最早阿呆とも言えない。
 あれはあれで良い。
 まあ、「なんとなく2005組」(2005年という一年をなんとなくやりすごしてから映画学校に入ってきた、1986年4月〜1987年3月生まれの人たち)は、他の連中から見れば、似たようなもんなのかもしれないけど。

 しかし、よく考えると、我が腐れ縁仲間は当然のようにアポなしでやってくるわけで、それ以外の知り合いなんて滅多に来ないのだから、私の部屋には「アポなしで来る奴」の方が多いということになる。

2010年05月26日 16:26