雪が降らない、あなたも来ない 夏にはきっと奴が来る

 もう3月だというのに、この冬の本格的な除雪回数は3回程度。例年であれば、夏の暑さよりも冬の除雪による発汗のほうが多く、常備してある塩分補給タブレットの消費量も多くなるはずなのだが、まだたっぷりと残っているのに賞味期限が近付いてくる有様。もったいないので朝風呂/朝シャワーの後に口に放りこんだりしているのだが、なにかを口にすると約15分後くらいには必ず歯を磨きたくなるので(すぐに磨くのは良くないらしい)、消耗するペースが速まっているのは歯磨き粉のほうだったりする。

 雪祭りやウィンタースポーツへの関心が皆無に近いので、雪なんぞは少ないに越したことはないのだが、あまりに少ないと夏の雨が多くなるのではないかという不安がよぎってくる。東京の湿気に耐えられず、故郷へ戻ってきた私にとっては、雨が多くなるくらいなら大雪に悩まされるほうがずっとましである。まあ、いざ雪が降ったら降ったでうんざりして悪態をついてしまうような勝手な人間ではあるが、夏に湿気を持ちこされるくらいなら、今月中にどんと来てくれてかまわない。雨乞いではなく雪乞いの儀式の必要性を感じる。もちろん、死者が出ない程度にだけれど。

 とは言え、相手は自然なので、いくら真剣に真摯に願ったところでどうしようもない。むしろ、真剣であればあるほど自然をコントロールしようという傲慢さを見透かされて、手痛いしっぺ返しを食らいそうな気もしてくる。案外、自分にとって最も心地良い天候を軽い気持ちで「だったらいいなあ~」なんて口にしているくらいが精神衛生的にもちょうど良いのかもしれない。しかし、そんな余裕を持って生きることができているのなら、そもそもそれは大きな不安を感じさせるような天候が続いてなんかいない状態だとも思う。不安というのも自然現象みたいなものなので、湧いてしまえばもうどうしようもないのだ。