理由なき飯盒

 学校行事以外でキャンプを経験したことはない。虫は嫌いだし、野性動物は安全圏で眺める分には良いが主導権を握られるわけにはいかないし、何よりすぐに身体を洗いたくなる人なので根本的に向いていないのである。Bearがたくさんいらっしゃって、プラスチックを溶かすような防虫剤でなければ効果のない蚊が飛びまわり、髪に良いかはわからないが環境には良い洗剤でしか洗髪のできないユーコン川などもってのほかである。

 中学でのキャンプは米を使用しなかったので目にすることもなかったが、小学校のキャンプでは毎回飯盒で米を炊いていた。炊飯器ではなかなかお目にかかることのできない“おこげ”が味わえることが売りらしいあの飯盒である。おそらく学校所有のもので、普段はどこに保管されているのかは知らずじまいだったが、廃校となってからは処分されてしまったのか、はたまたどこかの誰かが譲り受けたのか。年季の入ったものだったので、今になって使用したいとは全く思わないが、飾っておきたい気はするので、もしも所有者が持て余しているのだとしたら私に譲ってほしいところである。探し当てる伝手があるわけでもないので、ただの願望のまま終わるだろうけれど。

 飯盒に限らず学校の備品というのは、どこで入手したら良いのかわからないものも多いので、私のような収集癖のある者にとっては、ある意味で宝の山である。その点では、廃校となってしまった母校の関係者と交流を続けておくべきだった気もするのだけれど、嫌な思い出も豊富にあるせいで近寄るのも避けていた。別に母校の備品でなければいけない理由はないので、縁もゆかりもない廃校目前の学校と交流を持つ方法を模索しようかなどと考えている。まあ、これもまた伝手があるわけでも、それを可能とする社交力があるわけでもないので、ただの願望のまま終わるだろう。