のら猫の漁るゴミ箱もない

 近隣で見かけるキツネたちのなかには、猫を捕食しているものもいるらしい。いつだったか、やけにやつれている野良猫を見かけ、「そういえばネズミなんかも見なくなったから餌も少ないのだろうなあ」などと考えていたのだが、餌が少ないのはキツネも同じだったようで、ひょっとしたらあの野良猫もキツネの胃袋に収まってしまったのかもしれない。野生の彼らに干渉しようとは思わないので、野良猫を保護したり、ましてやキツネを駆除することもないのだけれど、できればその生存競争は今後も私の目の届かないところで繰り広げておいてほしい。少々、猟奇趣味的なところがあるとは言え、動物の死骸を葬るのが得意なわけではないのである。

 農家の多い土地なので、無視できないような動物の死骸が見つかった際は、トラクターなどで掘った深い穴に埋めたりすることもあるのだが、もっとも多い例は捕食している側のはずのキツネである。捕食している側だからこそ、肉のたっぷり残った状態で死んでいることが多く、目につきやすいのかもしれない。

 もっとも、決して気持ちの良いものではないが、キツネや野良猫であれば対応もできる。しかし、このところごく稀に飛来するようになったタンチョウに死なれでもした場合、はたして住人の判断で埋めてしまっても良いものかどうか。問答無用で埋めちまいそうな性格の方々も少なくないだけに、なにか面倒なことになったりしなければ良いなと思っている。

ネコロジー ノラ猫トイとその仲間たちの物語

ネコロジー ノラ猫トイとその仲間たちの物語

  • 作者:坂崎幸之助
  • 発売日: 2016/06/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)