「写ルンです」ほどの認知度があったなら

 パソコンであれスマホであれ、ワープロ機能をはじめとする文章入力というものは、どこの言語であっても基本的に「正しい文法」が反映され易くなっているはずで、例えば「単車」と書いて「マシン」と読むような当て字の類は、自分であらかじめ設定しなければスムーズに変換することはできないだろう。

 ゆえに、本来はひらがなや漢字で表記されるべき部分を敢えてカタカナにしようとしたりすれば、それだけ余分な変換が必要となり、当然タッチミスや入力ミスも起こり易くなる。どうしても必要なのであれば注意深く入力するべきだが、この程度の演出だとプロのライターの文章ですら必然性が感じられないことも多く、それどころか不快なだけの場合も少なくない。特にただのメールやSNSへの呟きならば、実験文学であるはずもなく、わざわざミスを誘発するような真似などしない方が良かろう。

 「カナリ」だの「なンです」だの、くだけだというよりは単に軽薄としか思えない言い回し(書き回し?)を多用している者が、自身の文章の誤字脱字の多さを反省していたりすると、まずはその無意味な変換遊びをやめるべきだと指摘したくなるし、それが大きな要因だと思い至らないのであれば、そもそも本当に反省しているのかどうかも怪しく感じるのである。